「面接、何を着ていけばいいんだろう。スーツ?」 「志望動機、例文を見てもしっくりこない……」
美容クリニックの求人に応募したあと、そんなふうに手が止まってしまう方は多いと思います。
私は美容の現場に15年いて、面接を受ける側も、入ってきた方を迎える側も経験してきました。その中で感じているのは、受かるかどうかより、入ったあと続けられるかのほうがずっと大事だということです。
この記事では、服装や髪色といった見た目の実際からお話しします。志望動機の考え方や、自分からクリニックを見極める逆質問までをまとめました。読み終えるころには、面接に持っていくものが決まっているはずですよ。
先に結論:美容クリニックの面接で大事なのは3つだけ
面接の準備で押さえることは、3つに絞れます。
見た目は、派手すぎなければ大丈夫です
服装や髪型で悩んでいる方は、いったん力を抜いてください。清潔感があって派手すぎなければ、まず問題になりません。
美容クリニックというと、見た目の審査が厳しそうに思えますよね。でも実際に見られているのは、モデルのような容姿ではありません。患者様の前に立ったときに、安心してもらえる人かどうかです。
志望動機は、主語が「辞めたい」か「やりたい」かで決まります
志望動機でいちばん見られているのは、文章のうまさではありません。動機の主語が、いまの職場から逃げることになっていないかです。
「夜勤がつらい」「病棟を辞めたい」。その気持ちは自然なものですし、私も同じでした。ただ、それだけを動機にして入った方は、美容の現場でもまた別のつらさにぶつかります。
面接は、評価される場ではなくお互いを確かめる場です
面接は、クリニックがあなたを選ぶ場だと思われがちです。でも本当は、あなたがそのクリニックを選ぶ場でもあります。
この視点を持っているかどうかで、当日の緊張はずいぶん変わります。聞かれることに答えるだけでなく、こちらからも確かめにいく——その準備のしかたを、この記事の後半でお話しします。
服装・髪色・メイク・ネイル|結局どこまでOKか
見た目の基準は、次の表くらいに考えておけば大丈夫です。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 服装 | スーツ。迷ったらこれで確定 |
| 髪色 | 少し茶色まで。明るすぎる色は敬遠されやすい |
| 髪型 | ひとつに結ぶなど、顔がはっきり見える形 |
| メイク | 健康的に見える程度。ノーメイクは避ける |
| ネイル | クリニックによって違う。面接では落としていくのが無難 |
| マスク | 外して話せる準備を。指示があればそれに従う |
表のとおり、特別なことは何もありません。ポイントは、おしゃれに見せることではなく、働いている姿が想像できる格好で行くことです。
服装はスーツ。私も、スーツで行きました
服装で迷ったら、スーツにしてください。私が面接を受けたときも、スーツで行きました。
美容クリニックはおしゃれな職場なので、私服のほうがいいのではと考える方もいます。ただ、面接の場でスーツが減点になることはまずありません。オフィスカジュアルの指定があったときだけ、それに合わせれば十分です。
髪色は「少し茶色」くらいまで
髪色は、少し茶色くらいまでなら気にしなくて大丈夫です。明るすぎる色や、個性の強い色だけは避けてください。
私が入った大手クリニックでは、入職してから髪色の指定が入りました。面接の時点で完璧にそろえておく必要はない、ということです。ただ、指定が入る職場もあると知っておくと、あとで驚かずにすみますよ。
ネイルは、クリニックによって大きく違います
ネイルの決まりは、クリニックによってまるで違います。私がいたところは禁止でしたが、まったく問題のないクリニックもあります。
禁止にしている理由は、患者様のお肌に直接ふれる仕事だからです。施術中に引っかかる危険もあります。反対に、スタッフの美容意識のあらわれとして認めているクリニックもあります。
どちらの方針かは、応募先を調べれば見当がつきます。SNSのスタッフ紹介で手元が写っていることもありますし、面接で確認してもかまいません。判断がつかないうちは、面接では落としていくのが無難です。
迷ったら、そのクリニックのSNSを見る
見た目の基準がどうしても分からないときは、応募先のSNSを見るのがいちばん早いです。
見るのは、スタッフ紹介の投稿や、看護師が出ているリールです。髪色や髪型、メイクの濃さ——実際に働いている人の姿がそのまま基準になります。求人票よりも正直な情報が出ていますよ。
Web面接のときに気をつけること
オンラインで面接をするクリニックも増えました。Web面接では、対面と違うところに気をつけてください。
- 顔が暗く映らないよう、窓やライトを正面にする
- カメラは目の高さに合わせる(見下ろす角度になりやすい)
- 背景は壁など、物が少ない場所を選ぶ
- 通信が切れたときの連絡先を、事前に確認しておく
画面越しだと、表情は実際より伝わりにくくなります。対面のときより少しだけ、はっきりと表情を出すくらいでちょうどいいです。
私が受けた面接の話(15年前・大手クリニック)
ここからは、私自身が美容クリニックの面接を受けたときの話をします。15年前の、大手クリニックでの話です。いまは形式が変わっている可能性があるので、そのつもりで読んでくださいね。
面接官は、その院の主任と副主任でした
私の面接に出てきたのは、院長でも人事の人でもありませんでした。その院の主任と副主任、つまり現場の看護師です。
これは、けっこう大事なことだと思っています。目の前にいるのは、受かれば一緒に働く先輩たちです。経営者に売り込むような話し方より、現場でうまくやっていけそうだと思ってもらえるかどうかが効いてきます。
聞かれたのは長所と短所。正直、それしか覚えていません
面接で何を聞かれたか。正直に言うと、長所と短所を聞かれたことしか覚えていません。
想定問答をたくさん用意して行きましたが、出番はほとんどありませんでした。拍子抜けするくらい、あっさりした面接だったのです。
15年たって思う、完璧な回答を作り込まなくていい理由
いま採用する側の目で振り返ると、あのあっさりした面接の意味が分かります。面接官が見ているのは、回答の完成度ではなく、話しているときの雰囲気だからです。
用意した文章を暗記して話すと、かえって不自然になります。言葉に詰まってもかまいません。自分の言葉で話している人のほうが、一緒に働く姿を想像してもらえます。
よく聞かれる質問と、答え方の考え方
聞かれることは、だいたい決まっています。ひとつずつ、考え方をお話しします。
なぜ看護師になったのか
この質問は、人柄を知るためのものです。立派な理由でなくてかまいません。
家族の入院がきっかけだった。手に職をつけたかった。どんな入口でも大丈夫です。だいじなのは、そこから19年なり10年なり続けてきた事実のほうですから。
なぜ美容なのか
美容クリニックの面接で、いちばん大事な質問です。ここだけは、自分の言葉を用意していってください。
避けたいのは、病院の不満だけで答えてしまうことです。「夜勤がきついので」で終わると、動機が逃げの形になります。自分が美容医療に何を感じているのか、そこまで話せると強くなります。
なぜ当院なのか
この質問に答えるには、下調べが必要です。ホームページで、力を入れている施術や、教育についての記載を見ておいてください。
答え方はシンプルで大丈夫です。どの施術に興味があるのか、なぜその施術なのか。2つがつながっていれば、ちゃんと伝わります。
退職理由|ネガをポジに変える言い換え表
退職理由は、正直に話しつつ、言い方だけ整えてください。うそをつく必要はありません。
| 思っていること | 面接での言い方 |
|---|---|
| 夜勤がつらい | 生活リズムを整えて、長く働き続けたい |
| 人間関係がしんどい | チームで協力しながら働ける環境で続けたい |
| 給料が安い | 成果や努力が評価される環境で働きたい |
| 病棟の業務量が多すぎる | ひとりの患者様に、じっくり向き合える仕事がしたい |
| 美容に興味があるだけ | 自分自身も美容医療を受けて、良さを実感した |
表の右側を見ると分かるとおり、やっていることは不満を、これからやりたいことに翻訳する作業です。事実を変えているわけではありません。
答えにくい質問(希望年収・他院の選考状況・入職可能日)
答えづらい質問も、準備しておけば怖くありません。
- 希望年収:いまの年収を伝えて、「同等以上を希望しますが、規定に従います」と添える
- 他院の選考状況:受けているなら正直に言う。隠すと入職日の調整でこじれます
- 入職可能日:退職交渉に必要な期間を足して答える。最短をむりに言わない
3つとも、見栄をはらないほうが結果的にうまくいきます。入ってから困るのは自分ですから。
志望動機|例文をそのまま使うと落ちます
インターネットには、志望動機の例文がたくさん並んでいます。参考にするのはかまいません。ただ、そのまま使うのはやめてください。
面接官は、同じような文章を何十通も読んでいます。借りてきた言葉は、質問を1つ重ねられた時点で止まってしまいます。
主語が「病院を辞めたい」の人は、続きにくい
長く続いている方と、すぐに辞めてしまった方。両方を見てきて、はっきり違うのが動機の主語です。
辞めたい気持ちが出発点の方は、美容の現場でもまた同じ壁にぶつかりやすいと感じています。美容には美容のきつさがあるからです。覚えることの多さ、接遇の細かさ、売上の話。逃げ場所として選ぶと、そこでまた逃げたくなってしまいます。
自分もきれいになりたい、は強い動機です
反対に、続いている方の動機はとてもシンプルです。自分も美容医療を受けてよかった。肌が変わって気持ちが上がった。そんな実感から入った方は、強いです。
「そんな理由でいいの?」と思われるかもしれません。いいのです。自分が体験した良さは、患者様に伝えるときの言葉になります。これは勉強では手に入りません。
未経験のとき、看護経験のどこを使うか
未経験で応募するときは、看護師としての経験をそのまま持っていってください。
- 患者様の表情や顔色から、体調の変化に気づける観察力
- 不安が強い方への声かけ
- 急変時に落ち着いて動ける経験
- 医師とのやりとり、記録の正確さ
美容の技術は、入ってから覚えるものです。求められているのは技術の先取りではなく、看護師として身につけたものを、場所を変えても使えるかという部分です。
志望動機・自己PR・退職理由を並べて、矛盾がないか確認する
書類を出す前に、ひとつだけやってほしいことがあります。志望動機、自己PR、退職理由の3つを並べて読んでみてください。
「チームで協力したい」と書いたのに、自己PRが個人プレーの話になっている。よくある食い違いです。面接官は、その小さなズレを質問で突いてきます。3つの向きがそろっていれば、どこを聞かれても答えがぶれません。
面接では見抜けないことがあります(現場15年の本音)
ここからは、転職サイトではあまり書かれていない話をします。
振り返りができて、改善策も言える。でも翌日またできない方がいました
採用する側にいて痛感したのは、面接で分かることには限りがあるということです。
印象に残っている方がいます。ミスをしたあとの振り返りがきちんとできて、次はこうしますと改善策まで言える方でした。話を聞いているかぎり、まったく問題がありません。でも翌日、また同じことが起きてしまう。
その方は面接でも、とても好印象だったはずです。つまり、面接という短い時間では分からないことがあるのです。
だから、受かることだけを目標にしないでほしいのです
面接の対策を固めれば、受かる確率は上がります。ただ、面接を突破する技術と、現場で続く力は別ものです。
だから準備するときは、受かるための答えだけを作らないでください。その答えどおりの自分で、1年後も働けるか。そこまで考えた志望動機は、入ったあとのあなたを支えてくれます。
落ちる・辞めるは、あなたのせいだけじゃありません
もし面接に落ちても、入って続かなかったとしても、原因がすべてあなたにあるとはかぎりません。現場にいたからこそ、はっきり言えることです。
すぐ辞めていった方に多かった、2つのパターン
短い期間で辞めていった方には、2つの傾向がありました。
1つ目は、病院のやり方を手放せないまま入ってきた場合です。美容は、業務も技術も病院とは別のものです。これまでのやり方が通じないことに納得できないと、苦しくなってしまいます。
2つ目は、本人ではなく環境のほうに理由があった場合です。こちらは、次でお話しします。
人員が少ない時期に採用されると、教育が追いつきません
美容クリニックは、人が足りない時期に採用を増やします。そして人が足りない時期は、教える側にも余裕がありません。
同じクリニックに入っても、入るタイミングによって受けられる教育はまるで違います。落ち着いた時期に入れば手厚く教われた人が、忙しい時期に入ると放っておかれる。本人の努力とは関係のないところで差がついてしまうのです。
辞めた方を何人も見てきましたが、環境の問題だったケースは少なくありません。自分を責めすぎないでください。
だから、入るタイミングを面接で確認します
タイミングの良し悪しは、外からは見えません。でも、面接で質問すればある程度わかります。
聞き方は難しくありません。「最近、看護師さんは何名くらい入職されましたか」「いまは増員の募集でしょうか、欠員の募集でしょうか」。この2つで、そのクリニックの状況が見えてきます。
逆質問|自分から見極める3つの質問
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれます。ここが、あなたがクリニックを確かめる時間です。次の3つを持っていってください。
① 教育体制は「何か月で一人立ちか」と数字で聞く
教育について聞くときは、体制の有無ではなく期間を聞いてください。
「教育体制はありますか」と聞くと、たいていは「あります」と返ってきます。それでは何も分かりません。何か月で一人立ちになりますか、と数字で聞くと、実際の進み方が見えてきます。
② 技術の練習時間が、勤務時間内にとれるかを聞く
美容の技術は、練習しないと身につきません。問題は、その練習をいつやるかです。
私が入った当初は、覚えることが多すぎて、仕事の前後に1時間ずつ勉強していました。試用期間の3か月では、とても足りなかったのです。練習が勤務時間に入るのか、それとも時間外なのか。長く続けるつもりなら、確認しておく価値があります。
③ 求人票の手当は、支給の開始時期まで聞く
求人票に書いてある手当は、入職したその月からもらえるとはかぎりません。
住宅手当や資格手当は、条件や時期が決められていることがあります。支給の条件と、いつから支給されるかまで聞いてください。入ってから話が違うと感じるのは、たいていこの部分です。聞きにくいと思うかもしれませんが、お金の確認をする人は真剣な人だと受け取られます。
逆質問でやってはいけないこと
逆質問で避けたほうがいいものも、挙げておきます。
- 「特にありません」で終わる(興味がないと受け取られます)
- ホームページを読めば分かることを聞く
- 休みや残業の話だけを続けて聞く
- 給料の交渉をこの場で始める
条件の話は聞いていいのです。ただ、条件の質問だけで終わらせないでください。仕事の中身の質問を先に置いて、そのあとに条件を聞く。順番を変えるだけで、印象はまったく違います。
看護師として、ひとつ。 面接の前は、どうしても「選ばれる側」の気持ちになってしまいます。でも、あなたはこれまで何年も、患者様のそばで働いてきた人です。その経験には、ちゃんと値打ちがあります。どうか、うまく見せることばかりに力を使わないでください。ここでなら続けられそうか——その目で相手を見にいくくらいで、ちょうどいいのです。
よくある質問
年齢は関係ありますか?
年齢だけで決まることは、あまりありません。私の周りには、40代後半で入職して活躍された方もいます。くわしくは、30代未経験の記事にまとめています。
ブランクがあっても受かりますか?
ブランクそのものより、復帰してからどう働きたいかを見られます。美容は未経験からのスタートが多い分野なので、ブランクを理由にあきらめる必要はありません。
何次面接まであるのが普通ですか?
クリニックによって違いますが、1回か2回のことが多いです。大手では、院での面接のあとに本部の面接が入る場合もあります。応募先の案内に従ってください。
その院の施術を受けたことがないと不利ですか?
受けていなければ落ちる、ということはありません。ただ、受けたことがあると志望動機に具体性が出ます。気になるクリニックがあるなら、応募の前に一度カウンセリングだけでも行ってみると、話せることが増えますよ。
落ちたら、もう美容は無理ですか?
1つのクリニックの結果で、美容そのものをあきらめないでください。採用は、その時期の人員の状況にも左右されます。タイミングが合わなかっただけのことは、本当によくあります。
まとめ|面接は「選ばれる場」ではありません
最後に、要点を整理しますね。
- 見た目は、清潔感があって派手すぎなければ大丈夫です。 服装はスーツ。ネイルの決まりはクリニックによって違うので、事前に調べてください
- 志望動機は、主語を確かめてください。 辞めたいが出発点になっていないか。自分の言葉になっているか
- 逆質問は3つ持っていく。 一人立ちまでの月数、練習時間、手当の支給時期。この3つで、入ったあとの姿が見えてきます
- 続かなかったとしても、あなただけのせいではありません。 入るタイミングで、受けられる教育は変わります
面接は、あなたが値踏みされる場ではありません。お互いに確かめ合う場です。準備をひとつだけ持っていくなら、逆質問の3つにしてください。自分から聞く質問を持っている人は、当日いちばん落ち着いていられますよ。
このブログでは、看護師さんの美容クリニック転職について、ほかにも正直な記事を書いています。次はこちらもどうぞ。