「夜勤、あと何年続けられるんだろう」 「病棟を辞めて、美容クリニックに移った人ってどうなんだろう」
夜勤明けのスマホで、あるいは眠れない夜のベッドの中で、そんなふうに検索してこの記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。
私は看護師19年目です。最初は総合病院の病棟で夜勤をしていて、その後、美容クリニックに移りました。美容の現場には15年いました。
まず結論からお伝えします。病棟から美容クリニックへの転職は、じゅうぶん「アリ」です。 ただし、「夜勤がつらいから」という理由だけで選ぶと、後悔する可能性があります。この記事では、その理由も含めて正直にお話しします。
わたしが病棟を辞めたいと思った理由
私がいたのは3交代の夜勤がある病棟でした。夜勤があると、どうしても生活が不規則になります。
夜勤明けの日は、帰ってきてから朝に寝るので、起きるのは夕方。そうすると、その日の夜は眠れません。翌日が休みでも、起きるのはまた遅くなって、気づけば夜型の生活になっていました。夜勤明けは疲れているのに、眠れなかったり、眠りが浅かったり。休みの日が「寝るだけ」で終わっていく感覚が、じわじわとつらくなっていきました。
もうひとつ、気になっていたことがあります。夜勤(交代勤務)を長く続けると、乳がんのリスクが高くなる可能性があるという研究を目にする機会があったのです。
これは大げさな話ではなく、世界保健機関(WHO)の関連機関であるIARC(国際がん研究機関)が2007年に、「体内時計を乱す交代勤務」を発がん性のリスク分類で2番目に高いグループ(グループ2A=ヒトにおそらく発がん性がある)に位置づけています。その根拠となった研究には、看護師を対象にしたものも含まれていました。
ただ、ここは正直にお伝えします。「夜勤をすると必ず乳がんになる」というわけではありません。 日本の乳癌診療ガイドライン(2022年版)でも、「リスクを増やす可能性がある」という慎重な評価にとどまっていて、研究によって結果にばらつきがあるのが現状です。それでも、自分の体を長い目で守りたいと考えたとき、私にとっては「夜勤を長くは続けたくない」と思う十分な理由になりました。
誤解のないように付け加えると、病棟の仕事が嫌いだったわけではありません。 緊張感はありましたが、やりがいもありました。だからこそ「逃げ」ではなく、これからの体と人生を考えて、働き方を選び直そうと思ったのです。
なぜ「美容クリニック」を選んだのか
実は私、美容クリニックで働く前に、自分が患者として通っていたことがありました。そこで「こういう働き方があるんだ」と知ったのが、きっかけです。
正直に言うと、他の選択肢はあまり考えていませんでした。ひとつ面白そうだと感じたのは、保険診療と違って、成果が自分の収入に反映されるという点です。がんばりが数字になって返ってくるのは、それまでの働き方にはなかった魅力に映りました。
もちろん、不安もありました。
- 転職してすぐは、年収が下がること。 夜勤手当がなくなる分、最初は収入が減ります。(お金の話は別の記事でくわしく書きますね)
- 学び方が、病棟とまったく違うこと。 私が働き始めた当時は、病棟のように教科書やマニュアルがそろっているわけではなく、現場で先輩から口頭で教わりながら覚えていくのが基本でした。(今は美容クリニックで働く看護師が増えてきたこともあり、学べるツールは当時より増えていると思います)
この「学び方の違い」は、未経験で入る人がいちばん不安に感じるところだと思うので、少しくわしくお話しします。
「キラキラした世界」の中身は、コツコツの積み重ねだった
美容クリニックに入ったとき、私は正直「キラキラした世界に入った」ような気持ちになっていました。でも、実際の毎日はまったく違いました。
新しい施術や手術の介助に入ったら、その日のうちに思い出してノートにまとめる。とにかくメモを取る。その繰り返しです。当時は教科書がない分、自分の手で「自分の教科書」を作っていくしかありませんでした。華やかに見える世界の中身は、地味でコツコツした積み上げだったのです。
これから美容を目指す方に伝えたいのは、「キラキラだけを期待して入ると、ギャップに戸惑うかもしれない」ということ。でも逆に言えば、コツコツ覚えていく覚悟さえあれば、未経験でもちゃんとやっていけます。
病棟と美容クリニック、ここが一番違った
実際に移ってみて、「こんなに違うのか」と驚いたことを3つお話しします。
1. 生活リズムが、とても楽になった
これは想像以上でした。夜勤がなくなっただけで、体も心もずいぶん軽くなりました。休みの日が「寝て終わる」ことがなくなり、生活が昼型に戻っていきました。
2. 仕事が「売上」に直結している感覚がある
病棟にはなかった感覚です。いかに効率よく動くか、薬剤や資材をどう扱うか——そうした一つひとつが、クリニックの売上につながっていることを意識するようになりました。これを面白いと感じるか、プレッシャーに感じるかは、人によって分かれると思います。
3. 患者さんとの関わり方が違う
私がいたのは大手だったこともあり、一度きりで来られる患者さんも多く、病棟のように継続して関係を築いていく感じではありませんでした。病棟で「患者さんとの関係」にやりがいを感じていた人ほど、ここはギャップに感じるかもしれません。
美容クリニックに向いている人
15年働いて、長く活躍している人には共通点があると感じます。
- 美容が好きな人。 これがいちばん大きいです。好きな人は、自然と学び続けられるので長く続いています。
- 変化を柔軟に受け入れられる人。 伸びているクリニックほど、決まり事や治療内容が日々変わっていきます。その変化を前向きに受け止められる人は、強いです。
正直、やめた方がいいかもしれない人
一方で、つらそうにしていたり、早くに辞めていった人にも共通点がありました。
- 変化が苦手な人。 ルールや手技がどんどん変わることに、ストレスを感じてしまうかもしれません。
- 入る前とのギャップを受け止めきれなかった人。 「思っていたのと違った」を乗り越えられないと、続けるのは難しいです。
「夜勤がつらいから」だけで決めないでほしい
最後に、いちばん大切なことをお伝えします。
もしあなたが「夜勤がつらい」という理由で転職を考えているなら——夜勤がない職場は、美容クリニック以外にもたくさんあります。 外来、健診センター、企業の看護職など、選択肢は広いです。まずはそちらも視野に入れて探してみることを、私はおすすめします。
というのも、美容クリニックは、これまで接してきた患者さんも、求められる知識も技術も、病棟とはまったく違う世界だからです。美容そのものに興味がないと、やりがいや楽しさを感じにくいというのが、15年見てきた私の正直な実感です。
逆に、「美容が好き」「新しいことを学ぶのが楽しい」という気持ちがあるなら、生活も整い、成果がやりがいにつながる、とても良い選択になると思います。
看護師として、ひとつ。 転職は「今の職場から逃げること」ではなく、「これからの自分を選び直すこと」です。夜勤で体をすり減らしながら我慢し続ける必要は、まったくありません。まずは情報を集めて、自分に合う場所をじっくり選んでいきましょう。あなたの資格と経験は、どこに行っても必ず活きますから。
まず、やってみるといい小さな一歩
「気になるけど、いきなり転職は怖い」という方へ。最初の一歩はとても小さくて大丈夫です。
たとえば、気になる美容クリニックに、一度お客さんとして行ってみること。私自身がそうだったように、中の雰囲気やスタッフの働き方は、実際に足を運ぶといちばんよく分かります。それだけでも、「自分に合いそうか」の感覚がぐっとつかめるはずです。
まとめ
最後に、要点だけ振り返ります。
- 病棟から美容クリニックへの転職は、じゅうぶん「アリ」。私自身、生活が整い、選んでよかったと思っています
- ただし「夜勤がつらいから」だけで選ばないこと。夜勤のない職場はほかにもあります
- 長く続くのは「美容が好きな人」「変化を柔軟に受け入れられる人」。キラキラの中身は、コツコツの積み重ねです
あせって決める必要はありません。まずはお客さんとして一度のぞいてみる——その小さな一歩からで、じゅうぶんですよ。
このブログでは、看護師さんの美容クリニック転職について、ほかにも正直な記事を書いています。次はこちらもどうぞ。
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