「美容看護師って、実際いくらもらえるんだろう」 「転職したら給料が下がるって聞いたけど、どれくらい?」

求人サイトを開いては閉じて、を繰り返している方も多いのではないでしょうか。お金の話は、いちばん気になるのに、いちばん聞きにくいことですよね。

私は看護師19年目です。総合病院の病棟から美容クリニックに移り、美容の現場には15年います。大手のクリニックで長く働いたあと、今は個人のクリニックにいます。

先に、私の実際の数字をお伝えします。

  • 病棟時代(辞める直前):500万円弱
  • 美容クリニック1年目:450万円くらい
  • 2年後:500万円を超えました
  • 大手で役職についていた頃:840万円くらい

つまり、いったん1割ほど下がって、2年で戻り、そこからは上がり続けたということです。

「1年目の1割」を大きいと感じるか、思ったより小さいと感じるか。そして、そこから840万円まで、何をどうしたのか。この記事では、その中身を包み隠さずお話しします。

転職1年目、500万円弱から450万円になりました

まず、下がる理由はシンプルです。夜勤手当がなくなるからです。

病棟で夜勤をしていた方なら分かると思いますが、夜勤手当は月々の収入のなかで、けっこうな割合を占めています。それがまるごとなくなるのですから、下がるのは当然です。

ただ、ここで意外に思われるかもしれません。夜勤手当がまるごと消えたのに、減ったのは50万円ほど——1割程度で済みました。

理由は、美容クリニックのほうが基本給が高かったからです。夜勤手当がなくなった分を、基本給がある程度うめてくれた、というイメージです。

「転職したら収入が半分になる」といった話を心配されている方には、ここは安心材料になるのではないでしょうか。もちろんクリニックによって差はありますが、下がるのは一時的で、幅もそこまで大きくない、というのが私の実感です。

2年で500万円を超え、そこからは上がり続けました

では、いつ戻るのか。私の場合は2年ほどで、病棟時代の500万円弱を超えました。

そして大事なのはここからです。元の水準に戻ったあとも、年収は止まらずに上がっていきました。 最終的に、大手で役職についていた頃には840万円ほどになりました。病棟にいた頃と比べて、明らかに違う伸び方です。

ただ、これは何もしなくてもそうなった、という話ではありません。理由は3つあります。基本給が毎年上がったこと、報奨金があったこと、そして評価がきちんと給料に反映されたこと。 ひとつずつ見ていきますね。

給料の中身は、どうなっているのか

美容クリニック(私がいた大手の場合)のお給料は、大きく3つに分かれていました。

① 基本給

これは毎年上がっていきました。ここが土台になります。

② 報奨金(インセンティブ)

美容クリニックというと「個人の売上でお給料が決まる」というイメージがあるかもしれません。でも、私が経験したのは違いました。

報奨金は、クリニック全体の売上が、その月の目標をどれだけ超えたかで決まっていました。 個人が売った金額ではありません。だから「私だけが数字に追われる」という感覚はありませんでした。

ここで、正直にお伝えしないといけないことが2つあります。

ひとつは、目標を超えた月にしか出ないこと。 つまり、月給が毎月変わります。 私が最初に配属された院は売上がよかったので、覚えているかぎり報奨金がなかった月はほとんどありませんでした。でも、異動した先では目標に届かず、報奨金が出ない月もありました。生活の計画を立てるうえでは、ここは知っておいてほしいところです。

もうひとつは、配属される院によって差が出ること。 これは求人票からは絶対に読み取れません。同じクリニックに入っても、売上のいい院かどうかで、月々の収入が変わってくるのです。

ちなみに、私自身は経験していませんが、とても売上のいい院では報奨金だけで30万円ほどになった人もいたと聞いたことがあります。ただ、これはかなり特別な例です。「美容に行けば誰でもそうなる」とは、まったく思わないでください。

③ 手当

私がいたところには、家賃手当がありました。これは美容クリニックでは珍しいほうだと思います。

こういった手当は求人票に書かれていることが多いので、必ずチェックしてみてください。基本給だけを比べると見えてこない差が、ここにあります。

何をがんばれば、給料が上がるのか

私が「美容クリニックに来てよかった」といちばん感じたのが、この部分です。

大手には、明確な評価制度がありました。年に2回、評価があります。その結果で自分の資格基準(グレード)が決まり、それがお給料につながっていく仕組みです。

評価される項目は、大きくこう分かれていました。

  • 看護師としての基本的な技術
  • 美容看護師としての技術 — 自分の院にある機械をどれだけ扱えるか、手術介助を何種類できるか、知識のテストにいくつ合格しているか
  • 仕事への向き合い方 — チームワーク、リーダーシップなど

ここで大事なのは、「何をがんばれば上がるのか」がはっきり見えていたということです。

病棟にも評価制度はありました。でも正直なところ、それが何に反映されているのか、私にはよく分かりませんでした。がんばりの行き先が見えるかどうか——この違いは、思っていたよりずっと大きいものでした。

新しい機械を覚えれば、テストに合格すれば、それがちゃんと数字になって返ってくる。だから学ぶことがしんどくなかったのだと、今になって思います。

大手と個人、給料の考え方はこう違います

私は大手と個人、どちらも経験しています。給料の考え方は、かなり違いました。

大手のクリニック 個人のクリニック
評価制度 あり(年2回・項目が明確) なし
報奨金 あり(クリニックの売上が目標を超えた月) なし
基本給 毎年上がっていく 入るときの取り決めが基本
収入の安定 月によって変わる 毎月ほぼ一定

個人のクリニックには、評価制度も報奨金もありません。そのかわり、入るときの条件がすべてになります。

私の場合は引き抜きだったので、それまでの年収を上回る条件を提示していただいてのスタートでした。個人クリニックであっても、経験を積んでいれば、条件はきちんと相談できるということです。

ポイントをまとめると——大手は「入ってから上げていく」、個人は「入るときに決まる」。この違いを知っておくと、求人を見る目が変わると思います。安定した収入がいいのか、成果が返ってくるほうが燃えるのか。自分がどちらのタイプかで、選ぶ場所も変わってきます。

「年収600万円も可能」は、本当なのか

求人サイトでよく見かける表示ですよね。正直にお答えします。

経験者の方なら、じゅうぶん目指せます。 そして未経験の方でも、クリニックを選べば可能だと思います。

実際、私自身が大手で役職についていた頃は840万円ほどでした。600万円という数字は、決して「夢の話」ではありません。

ただし、そこに届く人には道すじがあります。入ったその年にいきなり、という話ではないことは、正直にお伝えしておきますね。私も1年目は450万円でした。

ひとつは、役職に就くこと。 役職手当がつくので、年収を上げたいなら、ここは視野に入れる価値があります。私の840万円も、役職についていたからこその数字です。

もうひとつは、クリニック選びです。 これは私からの、いちばん実用的なアドバイスかもしれません。人気の先生がいて、これから店舗展開をしていくクリニックは狙い目です。

理由は単純で、そういうクリニックは人を欲しがっていて、しかも役職も欲しがっているからです。新しい院ができれば、そこを任せる人が必要になります。伸びている場所には、ポジションが空いているのです。

求人票を見るときは、給料の数字だけでなく、そのクリニックがこれから増えていきそうかどうかも見てみてください。

給料以外にもらえるもの

お金の話でもうひとつ。施術も化粧品も、社割で受けられました。

これは、もともと美容医療を受けようと思っていた人にとっては、かなり大きいです。自分が受けたかった施術が働きながら安く受けられるのですから、実質的な収入アップと言ってもいいと思います。

美容が好きで入る人にとっては、給料の数字以上の価値がある部分かもしれません。

お金の面で、これだけは知っておいてほしいこと

最後に、いちばんお伝えしたい注意点です。ここは私自身の苦い経験でもあります。

求人に出ていた条件が、入ってから変わることがあります。

私の場合、家賃手当と報奨金について、入社後に制度が変わって、もらえる時期が遅くなったということがありました。

だましているわけではありません。ただ、クリニックは制度の変更がとても早いことがあるのです。伸びている会社ほど、仕組みがどんどん更新されていきます。

だからこそ、ある程度は許容できる気持ちも必要かもしれません。求人票の条件を「絶対に約束されたもの」と思い込みすぎると、そこでつまずいてしまいます。

面接のときに「この手当は、いつから支給されますか」と具体的に確認しておくと、あとの気持ちがずいぶん違うと思いますよ。

看護師として、ひとつ。 お給料は大事です。ごまかす必要はまったくありません。ただ、数字だけで選ぶと、続かないことがあります。私が15年続けてこられたのは、収入が上がったからだけではなく、がんばりの行き先が見えていたからでした。「いくらもらえるか」と同じくらい、「何をすれば上がるのか」を面接で聞いてみてください。それにきちんと答えられる職場は、入ったあとも安心です。

まず、やってみるといい小さな一歩

「今の自分だと、いくらになるんだろう」——それを知る、いちばん簡単な方法があります。

気になるクリニックの求人票を1つ開いて、基本給・手当・賞与を、今の給与明細と並べてみること。

このとき、夜勤手当を抜いた金額で比べるのがコツです。そうすると「実際にどれくらい変わるのか」が、かなり正確に見えてきます。

紙に書き出すだけで5分ほど。転職するかどうかを決める前に、まずここからで大丈夫です。

まとめ

要点を振り返ります。

  • 1年目は500万円弱から450万円へ、1割ほど下がりました。 夜勤手当がなくなるからですが、基本給が高いぶん、下がり幅は思ったより小さいはずです
  • 2年で500万円を超え、役職についた頃には840万円になりました。 基本給の昇給・報奨金・評価制度の3つが理由です
  • 求人票の数字だけで決めないこと。 配属される院で報奨金が変わりますし、制度そのものが変わることもあります

お金の話は、はっきり知ってから動いたほうが安心です。まずは今の給与明細を出して、求人票と並べてみるところから始めてみてくださいね。


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