「美容看護師になってみたい。でも、もう30代だし、未経験だし……」
求人を眺めながら、そっとページを閉じてしまう。そんな夜を過ごしている方は、きっと少なくないと思います。
私は看護師19年目です。総合病院の病棟から美容の世界に移って、現場に15年いました。その間、たくさんの「未経験で入ってきた人」を見てきました。
先に結論をお伝えします。30代・未経験での転職は、めずらしくもなんともありません。 そして年齢の上限も、みなさんが思っているよりずっと上にあります。
ただし、正直にお伝えしたいこともあります。年齢によるハンデはたしかにありますし、「子どもがいる方」には求人票からは読み取れない落とし穴もあります。今日は、そのあたりまで含めてお話ししますね。
実際、何歳まで可能なんですか?
私が一緒に働いた中には、40代後半で未経験から入職された方がいらっしゃいました。
その方は、とてもうまくやっていらっしゃいました。前向きな方で、できないことがあっても一つひとつ振り返りながら、着実に成長していかれたのを覚えています。
もちろん、苦労がなかったわけではありません。その方が大変そうにしていたのは、単純に記憶力や、習得の早さでした。美容は覚えることが本当に多いので、そこは若い方のほうが有利だと思います。
でも——だからこそ、お伝えしたいのです。その方は、覚えるスピードのハンデを、前向きさと振り返りでカバーしていました。年齢が上がるほど不利になる部分は確かにありますが、それは「無理」という意味ではありません。
30代で「もう遅い」ということは、まずないと思っていただいて大丈夫です。
年齢より、採用で見られていること
では、採用のときに何が見られているのか。私がいた大手のクリニックでは、主体性や積極性をとても大事にしていました。
美容は、決まったことをこなすだけの仕事ではありません。新しい機械や治療がどんどん入ってきますし、患者さんへの提案も求められます。だから「自分から動ける人」「学びに行ける人」が求められるのだと思います。年齢よりも、そこを見られている感覚がありました。
不安に思われがちなことも、ふたつ補足しますね。
清潔感について。 これは「モデルさんのように美しくないと」という話ではありません。通常の医療従事者レベルで整っていれば、じゅうぶんです。 清潔で、感じよく、きちんとしている——それで大丈夫です。
接遇について。 「美容は接遇が厳しいと聞くから、自分には無理かも」という声をよく聞きます。でも接遇は、入職してから習得していくものです。よっぽどのことがなければ、心配しなくて大丈夫ですよ。
つまり、いま完成している必要はないのです。見られているのは、これから伸びていけそうかどうかなのだと思います。
子育てしながら、働けますか?
ここは、正直にお伝えしたいところです。いい面と、注意してほしい面の両方があります。
休みは取れる。ただし土日は重なる
私がいた大手は、体制を整えているほうだったと思います。希望の休みは取れました。
ただし、土日に希望が重なると、全員は休めないこともあります。お子さんの行事が土日に集中するご家庭では、ここは知っておいたほうがいいかもしれません。
急なお休みが出たときは、正直、現場は忙しくなりました。でも、それは仕方のないこと。休んだ人がどうこう言われる雰囲気は、ありませんでした。
「すでに子どもがいる方」は、時短制度を確認してください
これは、いちばんお伝えしたいことです。
私がいた頃は、入職してから出産した方は時短制度が使えたのですが、すでにお子さんがいる方が入職する場合は、なぜか時短制度が使えませんでした。 そのために入職をあきらめた方も、いらっしゃったかもしれません。
ただし——これは当時の話です。今は変わっている可能性が十分にあります。 ですから「使えない」と決めつけず、面接や見学のときに必ず確認してください。 求人票に「時短制度あり」と書いてあっても、それが自分に適用されるかは別の話だからです。
配属される院の規模でも、休みやすさは変わります
もうひとつ、求人票からは読めない話を。
同じ大手でも、どの院に配属されるかで規模が変わります。 小さい院だと、ひとり休んだときの周りの負担が大きくなるぶん、休みづらさを感じることもあるかもしれません。
「大手だから安心」ではなく、「どの院に配属される可能性があるか」まで聞いておくと、入ってからのギャップが減ります。
つまずいてしまう人に、共通していたこと
未経験から入って、うまくいかなかった方にも共通点がありました。ひとことで言うと、素直さと、柔軟な対応です。
美容に来られる方は、ほとんどが病院勤務からの転職です。そして病院と美容では、業務も技術もまったくの別物なんです。今までのやり方が通用しない場面が、たくさん出てきます。
そこで「前の職場ではこうだった」と立ち止まってしまうか、「そうなんですね、やってみます」と一度受け取れるか。新しいことを素直にやっていけるかどうかは、本当に大きいです。
これは、経験年数が長い方ほど難しいのかもしれません。病棟で培ったものが多いほど、手放すのに勇気がいりますから。でも逆に言えば、その一点さえ意識できれば、30代でも40代でも道は開けます。
入る前に、やっておくといい2つのこと
「何か準備しておきたい」という方へ。私がおすすめするのは、この2つです。
① 実際に、施術を受けてみる
受けられるのであれば、自分が患者として施術を受けてみることを、いちばんにおすすめします。
体験しておくと、どうすれば患者さんが快適に施術を受けられるかが見えてきます。「ここが痛かったから、こんなふうに声をかけよう」「この場面がつらいから、こうサポートしよう」——そういう視点は、本を読むだけでは身につきません。
面接で話せる材料になりますし、なにより入職してからの自分を助けてくれます。
② 皮膚の構造など、基礎の部分を勉強しておく
知識は、あるに越したことはありません。ただ、機械や治療の話は、自己学習ではなかなか難しいというのが正直なところです。実際の機械にも触れられませんし、情報も限られています。
それよりも、皮膚の構造のような基礎の部分がわかっていると役に立ちます。土台がわかっていれば、入職してから教わることの理解が早くなりますよ。
看護師として、ひとつ。 「未経験」という言葉に、必要以上に引け目を感じないでください。美容に来る人は、ほとんどが未経験からのスタートです。あなたが病棟で身につけた観察力や、患者さんへの気配りは、場所が変わっても必ず活きます。足りないものを数えるより、いま持っているものを持って行く——そんな気持ちで、大丈夫ですよ。
まとめ
最後に、要点を整理しますね。
- 30代・未経験は、まったくめずらしくありません。 私の周りには40代後半で入職し、活躍された方もいました
- 年齢より見られているのは、主体性と積極性。 清潔感は通常の医療従事者レベルで、接遇は入ってから覚えれば大丈夫です
- お子さんがいる方は、時短制度が自分に使えるかを必ず確認してください。 求人票に書いてあることと、実際に適用されるかは別のことがあります
- いちばん大切なのは、素直さ。 病院と美容は別物だと受け入れられる人が、伸びていきます
準備として何かひとつだけやるなら、気になるクリニックで施術を受けてみること。それだけで、見える景色がずいぶん変わりますよ。
このブログでは、看護師さんの美容クリニック転職について、ほかにも正直な記事を書いています。次はこちらもどうぞ。